人生”レベル上げ”という生き方~アリボーの冒険~

人生好きなモノや人やコトを大事にしながら人生のレベル上げをコツコツとやっているのさ

空と海とのあいだには・・性暴力に思いをはせる

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沖縄は人気の観光地である。ゆったり、まったり、同じ日本だけど外国のように感じるという人もいる。歩くのものんびり、待ち合わせの時間には来なくても”うちな~タイム”で許してもらえたり。エメラルドグリーンの海には会いたくなればいつだって会える。沖縄の生命力のある海に「会う」という表現はしっくりくる。

講演前に児童相談所所長が話した、宮古島の事件私は知らなかった。

www.okinawatimes.co.jp

【楽しい話ではないがゆえ、暗闇にのまれる可能性】

先日急ではあったけど、お誘いがあった講演会「子ども虐待、DV、性暴力・・・”全ての暴力はつながっている”被害者理解とその支援」に行ってきた。はじめに講師の中島幸子さんは(米国法学博士、米国ソーシャルワーク学修士)「夜の講演であると同時に、重たいテーマの講演内容です。もし途中で心がザワザワしたり、苦しくなったら気にせず退席されてください。無理して話を聞くことはありません」と優しい声で話しかけてくれた。彼女自身DVの経験を持つ。その言葉を聞いて苦しくなったら帰ろうと安心して講演を聞く体勢になれた。

性暴力と聞くと、沖縄の場合特に基地関係者による事件を思い浮かぶ方が多いと思う。そういう報道が過多でもある。だからといって事件が起こったことは事実であり否定するわけではない。同じようにレイプ事件なども「衝動的あるいは計画的な見知らぬ男」というイメージを持っている人が多いと思う。でも実際のところ。

 平成26年に行われた内閣府調査(「男女間における暴力に関する調査」)によると、女性の15人にひとりが「無理やり性交されたことがある」と答えています。(有効回答数1811人、全体の6.5%が1回、ないしは複数回にわたり被害にあったことがあると回答。また、7.5%は無回答。)
そのうち、実に7割以上が顔見知りからの被害であり、全く面識のない相手からの被害は11.1%にとどまります。

http://next.spotlight-media.jp/article/251620879723947911

事実だとしても耳をふさぎたくなる。性暴力の加害者は、顔見知りのケースが7割という事実は知っておかなければいけない。これは身近に起こっていることで、身近に起こる可能性がある。

そして現在はパートナーシップが男女間だけで起こりうることではないこと、色々な関係性があることを知って欲しいと話を続けた。ターゲットになるの女性だけに限らず、そのケースも様々だということ例えば下のように。

  1. 男性→女性
  2. 女性→男性
  3. 男性→女児/男児
  4. 女性→男児/女児
  5. 男性→男性
  6. 女性→女性

私の経験談ではあるけれど、実際に女性からアプローチを受けたことがある。女性同士ということで軽いタッチは冗談でも受け入れがち。だけど少しでも「嫌悪感」を感じたら性暴力。ちゃんとNOと言えるあなたでいて欲しい。他にも友人の弟がまだ小学生のころ、車にのっていた知らな若い男性に性器を触られたという話もあった。泣きながら帰ってきたその子から話を聞いてどう対応すれば、なんて声をかければいいのか戸惑ったと友人は話した。それは今から20年も前の出来事。身近にあることなんです。

【良い関係性に必要な要素】

2003年に中島幸子さんが立ち上げたNPO法人レジリエンス」の資料から抜粋。

1.平等で対等である

立場の違いはあるかもしれないが、人の価値は一人一人変わらないという考えのもと、一方的な権力などが存在しない。

2.尊重し合えている

相手の意見も、自分の意見も、相手の都合も自分の都合もどちらも大切にすることができる。

3.安全、安心感がある

暴力や脅しがない。暴力とは、身体的なものだけではなく、精神的、経済的なども含む。境界線を侵害され続けることもない。それぞれが自分らしさを保てる。

子どもの虐待にしてもDVにしても、性暴力やその他暴力に関しても共通していることは、この3つの要素が保たれていない状況とのこと。そして投げかけてくれました、「想像してください。日常生活において、家族でテレビを見ているときに、テレビのリモコンって誰が持っていますか?誰でも変えれるようになってますか?見たいテレビ番組が違っていた場合はどうしますか?」と。

私が小さい頃は、兄がチャンネルの権限を持っていて私をふくめ下の兄弟が文句を言うなら殴られた。パワーとコントロールという流れが私の日常には普通にあった。買い物も、ご飯の支度も召使のように命令に従うことが楽だった。「行きたくない」と言ったらボコボコに殴られて、殴られたあとに結局買いにいかされる始末だった。そこにはこの3つの要素のカケラもない。私の場合は殴られるパターンだけれど、家族ともめると友人は無視をされるという話を聞いたことがある。家族全員に無視される。これは精神的に辛かったと言っていた。

沖縄の人は酒癖が悪いと聞いたことある人いますか?親戚が集まって楽しく宴会をしていたのに、最後は必ず喧嘩になって最悪というパターンを経験したのち酒を出さないことにしたら帰る時間も早くなって一件落着したり(笑)会社や、同窓会など、人が集まって酒を飲むと喧嘩になったという話しはよく耳にする話だ。沖縄人だからとか、酒が入っているからとか。そういうことを言い訳に「あるある」のような認識をしていた私。

でも中島さんは「酒を飲んだから暴力をしたと言い訳をする人がいます。酒を飲んだら暴力をするというのであれば、酒は販売されるはずがない。お酒を飲んでも暴力をしない人がどれだけいるんですか?起こった出来事を自分主体ではなく、お酒に酔った自分と責任転嫁しているだけなんです。暴力という手段を選んだのは加害者である本人です。言い訳にならない」と話してくれた。

当たり前に私たちは、言葉が存在して話し合うこともできて、3つの要素をお互いに譲歩したりできるはずなんですよね。暴力では何も解決できないし、良いことなんて1つもない。

【性暴力は加害者にしか責任はない】

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講師の中島さんが「全世界で性被害の数をいくら調査しても、氷山の一角で『泣き寝入り』は残念ながらまだまだ存在するでしょう。それは”性暴力は加害者にしか責任はない”という認識がまだ薄いこと関係している」と言った。

「暗い夜道を歩いていたから、露出の高い服を着てたから被害者にもそうなる要因があった」という人もいるだろう。身体も精神的にも傷ついた人をさらに責める必要があるのか?その人の立場になって、あなたは「そうですね。私も悪かったです」と言えるのでしょうか。私はそんなこと言いたくない。私は経験者だから。お酒も飲んでいたし、その人を信用しきっていた。女である自覚が足りなかったと自分を責めた。連絡先もすぐにかえた。その人とは二度と会わなかった。同意のない性行為はレイプである。相手を捕まえてほしいという思いよりも、その出来事を消し去りたいだけだった。そこには「恥と罪悪感」が関係してくる。資料のその文面は何十年前の過去を思い出させるには十分だった。消し去りたいと思っていた出来事は中島さんの講演を聞いて浄化された気分だった。だからこそ、過去の経験者にも支援が必要なんですという言葉に一番共感した。

沖縄には、そんな女性が多くいる気がする

是非吐き出してほしい。そんな場所があることを知ってほしい。

沖縄withyou

NPO法人レジリエンス

講演会のアンケートに「私も☆さんですレジリエンスでは被害者のことを☆さん”ホシサン”と呼ぶ)」と書いて、中島さんと握手した。その手はあたたかくてやわらかくて。近くのベンチに座って久々泣いた。行ってよかったと思える講演会だった。 

レジリエンス[Resilience]という言葉は、英語で「様々な形の力」を意味します。どのような逆境に置かれても耐え抜く力、そこから脱する力、新しくエネルギーを発揮する力、マイナスのものをプラスに変えていく力を指している。